お久しぶりです。ブログを続けるって難しいですね。のんびり継続していきます。
さて、今回は6年生の「書くこと」「日本文化を発信しよう」です。
先日研究協議会で私自身が授業提案したのですが、結構色々考えた末、学校パンフレットを作成するという授業を行いました。
なので今回は趣向を変えて、この単元を通して国語の教材研究について書こうと思います。
この単元の考え方
6年生2学期の「書くこと」で求めたい力
まず、これを考えることから授業作りをしよう。これを飛ばして言語活動を考えると、一貫性がなくなり、授業は失敗しやすくなると考える。
去年から新しく教科書に載ったこの単元。
指導書を開くとここで求める力は「文章全体の構成、展開を考える力」と「引用や図表を用いて自分の考えが伝わるように書き表し方を工夫する力」である。
だが、私は今回、「文章に対する感想や意見を伝え合い、自分の文章の良いところを見つける力」に重きを置きたかった。理由は、子供達の実態を見て、一番つけて欲しい力だったから。
6年生の2学期といえば、差はあったとしても、残す単元もあとわずか。
引用や論の展開を指導事項として設定するもよし。他の項目を設定するもよし。
あと数か月で卒業する子供達に今付けたい力は何かを考えて指導事項を明確にすることが授業の第一歩であると考えている。
これはどの教科、どの単元でも同じことが言える。
まずは指導事項を決める
国語の「書くこと」を例にあげると、ア~カの六つの項目が指導要領に示されている。授業を作る時は当然、どれも大切にしてほしいところだが、全てを追い求めようとするとお互いに厳しい。なので、授業の中では「これだけは身に付けて欲しい。」「終わった後、こんな姿になっていて欲しい。」と児童の実態を踏まえて一つ、重点とする指導事項を決める。
そして、その指導事項を達成するためにどのような言語活動、単元構成が有効かを考えていく。
こんな声を聞くこともある。
教科書にある指導事項に合わせなくても良いの??
教えないとまずいんじゃない?
当然、教えていないというのはまずい。だが、指導要領の内容というのは、2年間を通して反復的に学習していく中で身に付けていければ良い。他の単元で十分に身についている指導事項もあれば、まだ不十分な指導事項もあるはず。だからこそ、児童の実態を踏まえて単元を考える必要がある。
次に教材、言語活動を決めるのだが、この単元は…。
さて、これを読んでいる先生は、どのような力を子供に付けるでしょうか。
何を身に付けさせるにせよ、それにあった学習を組み立てていく必要がある。
今回は「日本文化を発信しよう」という教材を使うのです。
これが、「教材を教える」のではなく「教材で教える」ということ。
さて、この教材、教科書を開くとパンフレットを用いて日本文化を発信していく言語活動が設定されている。
そして、この単元の前には「鳥獣戯画を読む」という説明文の教材もある。
私はこれを見た時、いくつか言語活動が思い浮かんだ。例えば
- 日本文化のパンフレットを一人一冊作って、発表会を開く。
- 発表会ではなく、コンテストを開く。
- 日本文化ではなく、「世界遺産パンフレット」にして広く調べ発表する。
- 文化に縛られず、別の題材でパンフレットを作る。
- パンフレットという活動を行うが、題材は子供達それぞれに任せる。
- 発信するというところを大事にし、どのような形で発信するか、何を発信するかも子供達に任せる。
- 説明文と書くことを入れ子構造で行う。
※入れ子構造とは、説明文と書くことの学習を交互に行う単元構成。説明文で学習したことを次の時間、書くことに生かしていく。
さて、みなさんは何を行う?
言語活動の決め方
ここで、私が選んだのは「パンフレット」というものは残し、題材を「学校を紹介する」に変えた活動だ。なぜ、教科書から変えたのか。
理由は二つ。
一つ目は相手意識と目的意識。
書くことにおいて、誰に、何のために書くかというのはとても重要である。これがないと子供達は(大人でも)文章を書こうという気にはならない。今回、「日本文化を発信する」目的がどうしても子供達から沸き起こってくる気がしなかった。
(教師が何か理由をつけて設定すれば、もちろん楽しむだろうが、それは子供の目的になりえるだろうかと考えた。)
子供達には最高学年として学校になにか残したいという思いがあった。
加えて、誰に向けて書くかは子供に決めさせることで、自分達の中にそれぞれの目的意識をもたせるねらいもあった。
二つ目は「パンフレット」というものの学習。
私が大事にしたかったのは「意見や感想を伝え合い、自分の文章の良いところに気付くこと」である。
しかし、「パンフレット」というものを子供達はまだ作ったことはなかった。そのため、ここで経験しておかないと、パンフレットの特性や役割、良さや不便さといったものを学習せずに卒業してしまうことになる。そのため、「パンフレット」という形は外したくなかった。
以上の点から、今回は学校パンフレットで学校の魅力を発信するという言語活動になった。
単元構成の考え方
読むこと「鳥獣戯画を読む」と繋げる?繋げない?
この単元は「読むこと」と「書くこと」の複合単元となっている。
教科書では、「鳥獣戯画を読む」という説明文を読んだ後に、それを生かしてパンフレットで日本文化を発信していく流れになっている。
この流れには何も問題はない。
ただ、「鳥獣戯画を読む」では、鳥獣戯画が人類の宝であるという高畑勲さんの思いが文章になっているのに対し、パンフレットには「見出し」「リード文」「レイアウト」といった、パンフレット特有の要素も入ってくる。
この二つを複合単元として扱うか、それともここに学習していくか、私は悩んだ。
「鳥獣戯画を読む」から学べる事、生かせること
さて、私は今回、この二つは別に学習することにして単元を組んだ。
だが、複合単元で学習することのよさもたくさんある。
「鳥獣戯画を読む」の文章には様々な文章表現の工夫がされている。例えば、
- 問いが繰り返され、読者に投げかけられている。
- 体言止めが多く、短い文で抑揚がある。
- 筆者の考えが、事実(絵の描かれ方や歴史)と結びついている。
- 絵の説明が続く中で、段落ごとに伝えている良さが変わっていく。
- 同じ写真が使われているが、説明している内容は変わっている。
- 双括型となっており、最後の主張に向けて展開されていく。
これらの工夫を生かして、パンフレット内の文章を書けると、より自分の伝えたいことを相手に伝えるため表現を工夫できるのではないかと思う。
ただ、私の場合は、身に付けたい力が違ったので、今回は別で単元構成を考えたということである。
授業の作り方、考え方って
子供の力を借りる、声を聞く
ここでまたこんな声が聞こえてくる。
自分のクラスはどんな言語活動にすればよいだろう・・・。
単元を何時間扱いにするか、いつどのようなことを学習するか、これらはやはり、今回何を学習するかによって大きく変わってくる。
私の場合、上の写真のように、言葉のよさについて気付いてほしいと思っていたため、単元の中では、「自分や他者の書いた文章を共有できる時間」を多く設けた。
そして、自分の文章の良さに気付き、もっと言葉を大切にしてほしいと思ったため、書くことで、色々な立場の他者から反応をもらえる「学校パンフレット」に言語活動を設定した。
だが、相手は子供に任せ、何をパンフレットに書くかも任せた。
なぜなら、子供が書きたい、やりたいと思った瞬間に、こちらがあたえずとも自分に必要な内容を子供は学習するから。
どのように進めようか、何を活動にしようか迷ったときは「子供に聞く」というのも一つの手である。
私はよく、「この単元で何を身に付けたいか」「どんなことをして力をつけたいか」を子供達に単元導入で問う。
終わりに~教師もやってみる~
普段は、自分の実践を載せることが多いブログだが、今回は考え方をメインで書いてみた。
授業作りの一番は「わくわくすること」だ。教師がつまらないと感じているものは子供にとってもつまらない。ちょっとの工夫で、学習はいくらでも面白くなる。ここでいう面白さは、可笑しさではなく、知的な好奇心をくすぐるような面白さである。
「これをやってみよう」と決めたら、先生も一度活動をやってみよう。そうするだけで、意外と時間がかかったり、思ったより難しかったりと課題が見えてくる。また、夢中になってしまったり、くふうしてみたくなったりと面白さにも気が付ける。
明日の授業も、ぜひ、少しでもわくわくして行えるように、「何を身に付けさせたいか」を大切にして、「どんなことをしようか」考えてみてください。
去年、5年生で行った書くことはこちら
5年生「固有種が教えてくれること」「グラフや表を用いて書こう」
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