指導書では4時間扱いの「帰り道」
4時間でこれを読み深めていくとなると、指導事項を絞って評価していく必要がある。
読もうと思えば、色々な要素が含まれていてとても面白い教材だなと思う。だが、欲張らず、つけたい力を身に付け、次の学習に繋げられたらうれしい。
2時間目導入~律視点のみを読む~
T「さて、昨日は律視点のみを読んだよね。今日はどうしたい?」
T「もうさっそく周也視点読む」
C「読まない!」
じゃあ、ということで、今日の課題を書いていく。
子供たちと今日の学びを考える
視点を変えるということが今回の教材の特徴でありポイントであることは前時で子供たちと確認している。
今日はそれをどのように学ぶか考えるところから始めた。
T「周也視点が無しだとすると、読みを深めるために何ができるかな。何したい?」
C「律を読みまくる。とか。」
C「筆者の考えを読む。」
C「クライマックスを探す。」
いろいろ出てきたが「劇をする!」だけはどうしても指導事項に合わないため候補には入れなかった。
結果、今回は「周也視点を予想しまくる。」ということを律視点のみで行うことになった。
子供たちが決めたように感じているが、これを行うことで、周也の人物像を律視点で考えることになり、同時に律がどんな人物かを行動や考えから読み取ることになる。
展開~律視点で怪しいところを探す、想像する~
上が律、下が周也として、律の裏で何か起きていそうなところを叙述や描写を基にとらえる時間を長めにとった。
その後、時間軸で物語を整理していく。
T「物語の初めに起きたことは?」
C「帰り道で周也が待っていた。」
T「違うでしょ。」
C「!?」
C「ああ、昼休みの事だ。」
T「そうだね。それが物語の始まりだ。」
T「さて、ここでの律は何で迷っていた。」
C「どっちかなあって。」
C「ついていけなくて。」
T「そうだね、君たちもそういうことある?」
C「ある!」
T「だよね。さあ、ここでとんでもない一言が飛び出したよね、なんだ?」
C「『どっちも好きってのは、どっちも嫌いと一緒じゃないの。』だ。」
T「うんうん、この発言どう思う?」
C「さいてー!」
T「じゃあ、この裏で周也は何を考えていたのかな。」
こんな様子で、子どもが引っかかったところや、私が聞き出したいところを根拠と共に説明し、それをまとめていった。
まとめつつ、二人の行動の変化を板書していく。2時間目のこの時間は、最後に「いこっか。」「うん。」のセリフがどちらのものか考えをまとめて終わった。
3時間目 展開②~周也視点を読んで何が変わるかな~
さて、ここからは3時間目。ついに周也視点に迫る。
T「さっそく読んでみようか。昨日のノートの下の段に答え合わせを書いていこう。」
周也の行動や描写に着目させながら、昨日までの読みとどう変わるか実感させる。
C「うわー、やっぱそうか。」
C「え、そういうことかあ。」
時々読みながらもつい漏れてしまったかのように子どもたちの声が聞こえてくる。
どこで何が変わった?
二人の行動や描写を読みながら、物語の全体像が明らかになっていく。挿絵も確認しながら、視点を変えることで物語の見え方が変わるということが実感できた児童が多い様子。
T「さて、物語の全体が見えてきたところで、もう一度最初の授業で確認したことを聞くよ。この話は何がどこで変わるの?」
変わったのは、周也と律のそれぞれの考え、関係性などがすぐに上がった。
どこで変わったかの問いで
「天気雨」と答える児童。
T「本当に?」
C「本当。」
T「天気雨で変わったっていう根拠は」
C「みぞおちの異物が消えてきた、って書いてあるもん。」
T「もう一度言って。」
C「だから、消えてきたって書いてある。」
T「みんな、消えてきたってことは、消えたのかな」
C「いや、違う、まだ消え切っていない。」
C「じゃあここじゃないのか!」
そんな話をしながら、じゃあどこで物語は大きく変わったのかという問いを考えていると、
「律のセリフ(ぼく、晴れが好きだけど…)」で大きく変わったことが見えてきた。
二人の変わり方と、最後のセリフ
さて、最後に二人がどのように変わったかに着目していく。
律は、言いたいことを伝えられるように。
周也は、打ち返せなかったが、受け止められるように。
お互いにお互いの欠点を克服しようと行動が変わった、そんな瞬間が最後の場面にはあった。
そこで、最後のセリフに着目して、変わった後の二人について読み深めていく。
T「最後の、『いこっか』『うん』はそれぞれどちらのセリフかな」
この問いにそれぞれが答えと理由をノートに書いて終了。
次の時間の学習にこれが関わっていく。
GWも折り返し!連休明けに向けてしっかり体を休めてかんばりましょう。
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