授業3年生

3年生「ちいちゃんのかげおくり」第2時 単元計画を子供と一緒に考える

授業

夏休みもあとわずか。
先日、別の記事を読んでくれた方から問い合わせをいただいたのですが、設定がうまくいっていなかったようで後から気付き、相手方のアドレスが消えてしまい返信できませんでした…。

授業に関して聞きたい、続きが気になるなどはぜひこちらから御連絡ください。
先日頂いた「固有種が教えてくれること」については続きの記事を書こうと思います。(2年以上前なので思い出せる限りで…)

読んでいただいた記事はこちら

5年生「固有種が教えてくれること」「グラフや表を用いて書こう」1時間目
今回は「読むこと」「書くこと」の複合単元。1時間目ではそれらを複合する必要感をもたせた。加えて、学習の目標は図表やグラフを用いることに絞ることで、学習の見通しをもたせ、次時以降の授業につなげることを意識した。

さて、では前回から実際に子供達がどのように学ぶかを本時では一緒に考えていきます。

この記事を読んで分かること

  • 「ちいちゃんのかげおくり」の指導
  • 単元計画、言語活動の設定の仕方
  • 授業づくりで大切にしたいと考えていること

導入~何したい?~

何を学ぶか

さて、早速ですが、今回の板書はこちら。

これで11時間分の見通しがもてた子達は、次回から自分の学びたいものへ向かっていく。

前回の授業で「ちいちゃん」に着目するということを共通認識としてもったところで終わっていたので、単元の見通しは全て「ちいちゃん」に着目するために何をするか考えることになる。

前回の授業はこちら

3年生「ちいちゃんのかげおくり」1時間目~子供と共に学習者になる導入アイデア~
3年生の物語文学習。「なぜ学ぶのか」を共有した上で、「何を」「どのように」学ぶのかは子供達と考え、ゆだねていく。そのための導入として本時は「物語を学ぶとは」を考えながら何を問い、どのように進めれば良いかをまとめました。

授業の始めにそれを伝えて、共通理解しておくことで、単元計画がなぜあるのか、なぜ1時間かけて考えるのか納得した上で授業に臨むことができると考えた。

単元計画はなぜ立てるの?

そもそも単元計画とは何だろう。なぜ見通しをもつことが必要なのだろうか。

「単元の見通しをもつ」ということをしている教室はたくさんあると思う。ただ「立てなければいけない」ものとして毎回提示をしたり考えているのでは、やはりワクワクしないしつまらない。

1つは、見通しをもち、何をしているのか子供達が自覚することで、学びに向かう力を養うことにつながる。単元の中で何となく、これまでの学びを生かして読み深める子はたくさんいるだろう。それが無自覚の状態である。

それを単元全体を通し「学び」として自覚させてあげることで、「自分は今こういう学びができているのか。」と理解ができる。そうすると次の学習で、自分が学ぶためにどのようなことをすればよいか考え、自らがやりたいことに向かっていける。

そう考えると、単元計画は、「これをやるよ!」と押し付けるのではなく、自分達のやりたいことはどうすれば実現できるか、子供と一緒に考えて1時間作り上げるのも楽しくなってくる。かな?

ちなみに11時間というのは「何時間ほしいか」と子供に尋ねた結果である。

ぜひ聞いてみて欲しい、大抵「10時間」という答えが出てくる。10時間がどれほど長いか、というのはやってみないと感覚はつかめないものだ。

展開~どのように学ぶか~

具体的な学習方法を考える

yuuh先生
yuuh先生

さて、全体で11時間というのは分かった。そのうちみんなが好きなように学べるのは7時間だね。長いねえ。何しようか。

児童
児童

まずは一人一人自由に読み進めたい。

さて、私のクラスでは昨年から子供達に学びをゆだねることが多い。

これに関して話すと長くなるが、2023年の今のところ、子供と一緒に学びをつくり、学びたいことをとことん学ぶのに一番の方法だと信じている。

ただ、これにいたるには色々聞いたり考えたりしたことがあり、ただゆだねただけでは、やはり難しい。

今回の記事では、どんな視点で学習すると物語の読みを楽しく深められるか考えてみたい。

yuuh先生
yuuh先生

11時間目にちいちゃんについて語り合うためには、この7時間で何をしておかなければならないかな?

具体的に何をするか、最初に共有してあげることで見通しがもちやすくなる。

C「場面のうつりかわりは読まないと。苦手な気がするから。」

C「ちいちゃんについて話すんだから、行動とか会話についてはよく読まないとね。」

ここらへんは出てくることが多いと思う。だが、「ちいちゃんについて」話すという目的なので、

C「戦争について調べないとわからない」

C「防空壕とか全然知らないから」

C「ほかの本を読んだら何か考えられることが増えるかも」

なども出てくる。

学習活動と学習内容を繋いで価値づける

これらが出てきた時は、具体的な学習活動を、学習内容に置き換えてあげる学びにならないことはないのではないか最近は考える

T「ということは登場人物を想像するためには行動と会話が大切なんだね。」

T「作者とか戦争について考えることで、自分の考えをもちたいのか。」

T「ふんふん、面白いね。他の本を幅広く読むことも大切だからとても良いと思うよ。」

この時は大きく分けて「場面」「人」「作者(教材文の外)」の3つがありそうだという結論になった。

子供達が「あれやりたい」「これ面白そう」と思ったことに関して、一番避けたいのは「それはちょっとどうだろう。」とか「それは今回は関係なさそうだよ」など否定してしまうことである。

が、それ以外にも「ふんふん、じゃあそれをやるためにはこれもやらないといけないね。」などハードルを上げてしまうことも避けたい。

大人だからついつい色々言いたくなるが、単元計画は「子供が学ぶ」ために立てている。教師が気持ちよく授業を進めるためでも、見栄えの良いものを作るためでもない。

(と、ここ最近考えられるようになった。以前はガンガンこちらで押し進めていた笑)

子供がやりたいと思ったことにはどのような良さがあるのか、大人として価値づけた上で、一緒にこれからの学びをワクワクしたい。

単元計画を立てる時に大切にしたいこと

ここまで子供が主体となっているような流れであったが、教えなければならないこともある。それは当然教えなければできるようにはならない。例えば、「最後、ちいちゃんは幸せか」(例えばね)を話し合うために叙述や時代背景に基づいて話し合うことは盛り上がる。だが、叙述に基づくことも、場面の移り変わりを比べることも、ましてや最後の場面について話し合うということさえ、子供達だけで気付け、というのは乱暴だと感じる。教えたいことは教えて良い。

ただ、知っている子は知っているし、できる子はできる。変に隠して誘導するよりは、「先生はこう思うんだよね。」と伝えてあげるとよい。その上で「でも先生、僕は・・・」と続いたら毎日の学びが楽しくなる。

単元計画も言語活動も「これをやると良いよ。」というのはぜひたくさん伝えたい。ただ、「やらねばならぬ」という方法や具体的な活動を押し付けてしまうと途端に何でもつまらなくなる。

一つ上の、「何ができるようになりたいか」「なぜ学ぶのか」などを日頃から子供達と共有したい。その上でそこを目指し「今回は〇〇をやろう」となればきっと、どんな言語活動や単元計画でも「意味がない」と感じながら授業に参加する子は減るのではないかと思う。

次回は具体的にどのように単元中盤が進んだか記事にしたいと思います。

授業に関する質問やお問い合わせ、もしくはその他の相談もこちらまで

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