さて、アンパンマンマーチについての考え方、そして自分の生き方を考えていくという言語活動を設定した前時。まだ読んでいない方は下記からぜひ!
本時では、実際に文章を読み、まずは話の内容を把握していく。
導入~伝記の読み取りの方法~
まずは、伝記を読み取るということがどういうことなのかを考えていかなくてはいけない。
何をどう読めば、伝記を読んで力が付いたことになるかな??
C「うーん」
C「やなせたかしの行動とか?」
C「あと、会話。」
C「それからやなせたかしがどう変わったかとか?」
T「うんそうだね、物語と同じで、中心人物であるやなせたかしさんの行動や感情は言葉を頼りに読み取ることができるよね。」
展開~やなせたかしさんの行動と変化を読み取る~
やなせたかしさんの行動とは?
T「じゃあ、やなせたかしさんてどんなことをしてたっけ?」
C「おじとおばに引き取られた。」
C「あんぱんまんを描いた。」
C「徴兵された!」
T「うん、いろいろあったよな。」
じゃあ、やなせたかしさんが変わった人生最大の出来事ってどれだろう?
C「え、徴兵じゃない?」
C「いや、あんぱんまん描いたことでしょ。」
色々話が出てきたところで、本時の課題を示した。本時では、人生最大という言葉で、出来事だけではなく、たかしの感情やあんぱんまんに込められた考えまでたどり着いたらと思った。
まずは考えをもたせる
さて、最大の出来事は何だ!と聞いたからには、まずは全員に考えをもたせる。
自分の立場を明確にすることで、読解はより深まるし、何よりあーだこーだ言い合うのは楽しい。
T「さて。改めて出来事をまずは挙げてみよう。何があったかな。」
そうして出てきた出来事を上段に書く。その後どれだと思うか挙手させた。
多かったのは、弟の死に直面したところと、上をしのぐためおにぎりを分け合う兄弟を見たところだった。
心の変化を読み取りながら、たかしにとっての出来事の意味を考える。
さて、このままではただの想像での会話になるので、ここから叙述に着目していく。
T「なんで、最初の場面は違うの?うえを経験したというのも大きな出来事だよね?」
C「そうだと思うけど、飢えは自分が苦しかったことと、食べ物の大切さというところだから、まだ違う気がする。」
C「身内の死の方が大きい。」
T「なんで?」
C「『僕は何をすればよいのだろう』という言葉から、自分のあり方について初めて考えているところだから。」
C「正義のきっかけになったのはここじゃないかな。」
C「でも、何をすればよいのだろうだから、正義に結び付いているかはわからないよ。」
T「じゃあ、ここが一番の出来事でいいかな?」
C「いや違う。分け与えたところを見たのがやっぱり一番の変化だよ。」
T「どうして??」
C「だって『はっとした』って書いてあるから、そこで正義ということが何か気付いたんじゃないかな。」
C「そのあとにも正義とは・・・って続いて書いてあるから、ここで自分のやるべきことに気付くことができたんじゃないかな。だから大きく変化している。」
C「でも、その前に弟の死が無ければ何も感じなかったかもしれないよ?」
C「弟と兄弟を重ねて考えていたから、大きく変わっているんじゃない?」
C「じゃあ、もうどっちも大きな出来事だったんじゃないかな。最大の出来事って一つじゃないのかも。」
もっといろんな会話があったはずなのだが、1年経ってしまったせいで少し曖昧・・・。
ここから、あんぱんまんの人物像に出来事を通したやなせたかしさんの考えが反映されていることに気付いていく。
あんぱんまんの特徴
やなせさんのつくったあんぱんまんがどんな人物か最後に少し話をした。
T「あんぱんまんってどんなキャラ?」
C「強い!」
C「正義の味方!」
C「水に弱い」
C「顔をちぎってパンをあげる」
T「なんで、正義の味方なのに、最強にしなかったんだろうね。」
C「それは、やなせたかしさんの理想が違うからだよ。」
T「そうか、じゃあ次回はそこを考えていこうか。」
こんな風に、次回は伝記の文章と、実際にあるアンパンマンをつなげて考えていく。
終わりに
この授業でどんな力をつけるか。それは、文章の内容を一つずつ理解するのではなく、書いてあることを手掛かりに自分の考えをもつ力。
物語文も説明文もそうだが、場面ごと、段落ごと、に考えるのではなく、全体を広く読んだり焦点を絞って読んだりしながら、筆者や作者の考えを正確に受け止め、それに対して考えを返せるようなそんな子になってほしいと思う。
今回は「考えのアップデート」という言語活動名。
伝記を読む一番のよさは、それまでもっていた自分の概念を変えることができるところ。
ぜひ、やなせたかしさんや他の人の人生に触れ、考えを広げ深めて欲しい。
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