Q&Aと言うほど大層なものではないが、最近ありがたいことに色々と授業に関する質問をいただくことが増えた。
こんなぺーぺーでも頼りにしてくれる人がいるというのは本当にありがたいことだし、励みになります。
せっかくなので質問を受けたことをここに書いてためていけば、もっとたくさんの人の考えるきっかけになれると思ったので、いくつか記事を書いていこうと思います。
ということで、最初の記事は本当によく聞かれるこちらから。
前半は、本当に基礎の基礎。(と言っても私も解釈を間違えていたら申し訳ない)
後半から実際の授業の組み立て方をまとめています。
指導事項とは
指導事項って
先生であれば、この言葉はよく聞きますかね。
「指導事項」とは文部科学省が定めている学習指導要領に書かれている内容の一部。
「これを指導してくださいね。」と決まっている内容のことですね。
例えば国語であれば、「書くことの能力を育てるため,次の事項について指導する。」
などと書かれ、その後に指導すべき具体的な内容が書かれている。
各教科の「学習指導要領解説」には、それぞれの項目の考え方まで細かく書いてある。
何のための事項?
さて、どの教科でも授業は年間にいくつもの単元で行われる。
国語であれば、物語文や説明文を読んで授業を行うが、
大事なのは文章を読んで内容を理解することではない。
例えば、光村図書1年生「じどう車くらべ」
色々な車が出てくる、1年生には楽しい読み物だ。この教材文を学習し終えた時に、
〇〇の車がかっこよかったー!!
で終わってしまうと国語の学習ではない。
この教材文は、「文章の中の重要な語句を考えて選び出す」ことを指導しなくてはいけない。
指導要領解説には『文章の中の重要な語や文とは,書き手が述べている事柄を正確に捉えるために,時間や事柄の順序に関わって文章の中で重要になる語や文,読み手として必要な情報を適切に見付ける上で重要になる語や文などのことである。
考えて選び出すとは,例えば,「書き手が伝えたいことは何かを考える」,「自分が知るべきことについて詳しく知る」といったことを意識しながら,重要だと考えられる語や文を文章の中から見付けることである。』
とある。つまり、この単元が終わった後に、子供から、
何かの説明をする時は、その物の特徴や理由を書いていると、伝わりやすい!
「そのために」という言葉で「しごと」と「つくり」をつないで説明することができるんだ!
なんて言葉が聞こえてこなくてはいけない。
授業における指導事項
まず何から考えればよい?
はい、では実際の授業作りで考えていきましょう。
授業する時にまず何を考えていますか?教科書を開き、
「お、次の教材はこれかあ。」
「ふむふむ、こんな内容か。よし、とりあえずやってみるか!」
「にしても、なんでこんなにすぐ読める話を10時間もやるんだ?」
となっていた人。もしいたら、私と同じです。
教材文を読むことは大切です。ですが、まず初めに考えたいことは
「この授業が終わった後に、どんなことができるようになっててほしいか。」
です!(本当は教材研究の前に素材研究があって…と色々あるのでそれはまた別の記事で!)
どんなことができるようになっててほしいか。を考えるためには
「今まで何ができているか。」「何がたりていないか」
を考えることが必要です。
それを考える時に読むと参考になるのが「学習指導要領」です。
足りない、指導したい内容が決まったら・・・。
指導したい内容が見えてきたら、教材の何を生かせばそれが身につくか考えます。
例えば上の例である「じどう車くらべ」で、「しごと」と「つくり」が「そのために」という言葉でつながれて説明されていることを身に付けさせたければ、それらを生かした授業展開にしていきます。
(詳しい内容までここで書くと長くなりすぎるので、また別の記事で…。)
そうすると、単元全体でどんな授業が何時間必要か見えてきます。
さて、上の指導事項を達成するために
音読発表会は必要でしょうか?
ワークシートは必要でしょうか?
他の乗り物図鑑は必要ですか?
教材というのは扱い方次第で本当に様々なことを教えることができます。
ですが時間内に全てを欲張って教えることはできないですし、そんなことをしたら子供がパンクしてしまいます。
だから、「指導事項」を決めて、それに向かうための「言語活動」や「手立て」を用意することで、とてもすっきりした単元計画が作れます。
よくある?質問
複数設定することがあるけれど・・・。
指導案とかを書く際に、いくつも指導事項が書いてあるのを見たことあると思います。
各自治体によって書き方の方針があると思うのでそちらに合わせてください。
ですが、1つの単元でいくつも指導をするということは、それらを子供達が確実に身に付け、かつ評価をしなくてはいけません。
私は普段、授業を作る時に指導事項は絶対に学んでほしいなと思う内容「1つ」に絞ります。
他の学年の内容を扱いたい・・・。
授業をするのは大いに結構だと思います。子供達の実態に合わせて授業の内容を組み立ててください。
ただ、その学年の指導事項は、その学年のうちに確実に指導する必要があります。(国語は2学年ごとに内容がまとまっているので2年間のうちに)
他の学年の指導事項を評価していますというのはちょっとおかしいかなと思います。
あくまでその学年の指導事項に重点を置いて、でも実際に授業する中では児童の実態に合わせていけばよいと思います。
(私は普段、1つ上の学年を目指して授業を作ることもあります)
指導要領と文言を変えたい・・・。
これは指導案作成の時によく聞く質問ですね。先ほど同様、指導案の形式は各自治体に合わせてください。
思いがあふれているのは良いことですので、自分の中では「これを指導するんだ」という分かりやすい言葉の目標があって良いと思います。
(例えば、「『重要な語句を探す』ってわかりづらい。『しごと』と『つくり』という2つの内容があることを理解させるぞ!」など)
ですが、指導案は他の人に読んでもらうためのものです。
あなたの思いを好きに書くというよりは、授業を見る人が分かりやすくなるためのお手紙だと思うと、文言は変えない方が伝わりやすいかもしれませんね。
実際の授業
他の授業で指導事項をどのように設定したかの例です。
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